📖くわしく解説します
年俸を「500K」、SNSのフォロワー数を「10K」と表記する習慣は今や当たり前ですが、この「K」の正体を意識したことがある人は少ないはずです。正体は、ギリシャ語で「千」を意味するkhilioi(χίλιοι)に由来する接頭辞kiloの頭文字。1795年、革命期のフランスでメートル法が制定された際、キログラムやキロメートルの接頭辞として正式に採用されたのが始まりだとされています。
では、なぜ「M」ではなく「K」なのか。メートル法を設計した学者たちは、基準より大きい単位にはギリシャ語由来の接頭辞(デカ・ヘクト・キロ・ミリア)、小さい単位にはラテン語由来の接頭辞(デシ・センチ・ミリ)をあえて使い分けました。混同を避けるための意図的なルールです。このとき、1000分の1を表すミリ(milli)がすでに頭文字Mを使っていたため、1000そのものを表す接頭辞にMは使えませんでした。
皮肉なのは、このmilliの語源がラテン語のmille(千)だということ。ローマ数字のMが1000を表すのも、同じmilleに由来します。つまりMという文字は本来「千」を背負った文字なのに、メートル法では逆の「千分の1」の記号として使われてしまいました。そのため1873年、新たに「百万」を表す接頭辞が必要になったとき選ばれたのは、ギリシャ語で「大きい」を意味するmega——これも頭文字はMです。結果としてMは、千分の1と百万という方向違いの2つの意味を抱え込むことになりました。
一方のKは、最初から「千」一本の意味しか持っていません。km・kg・kHzといった科学の単位から、やがて年収500Kやフォロワー10Kといった日常表現にまで広がりました。ただしコンピュータの世界では話が別で、長らく1KBは1000バイトではなく2の10乗=1024バイトを指してきました。1000ぴったりの「K」と1024の「K」が混在する状態を解消するため、1998年にはKiB(キビバイト)という新しい単位まで作られています。
🔊この話に出てきた英語を使ってみる
音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。
❓まとめ
Q. 年俸を「500K」と書くときの「K」、なぜ「M」じゃないのか?
A. 「K」はギリシャ語で「千」を意味するkiloの頭文字。「M」はすでに1000分の1を表すmilliに使われていたため、千の担当には回れませんでした。